4月14日
都内某所の勤務先は、他に何はなくとも、目の前の桜並木が美しい。
咲いて散った後、今頃になってそれを思い出した。写真を撮っているじゃないか、と言われるかもしれないが、ほとんど条件反射の様にカメラを向けていて、その時の記憶が定かでない。
いかに多忙であっても、満開の桜にだけは感激するものだと、私は自分のことを思っていたのだが……。
……夏休みに、咲いてもらえないだろうか。
これも花ひとりで酔ひて山桜
思うところあって、今年度から、記述を簡単にすることにした。
…できるかなあ。
4月26日
東京の北郊に、都電荒川線という路面電車が走っている。
私が育った横浜という場所には、そういうものがない。親にせがんで、はるばる横浜から連れて行ってもらった記憶がある。「珍しいものに乗った」と長年感謝していたが、その後六年ほど通勤で毎日乗った時期があり、一月ぐらいであっさり飽きてしまった(苦笑)。
「都電を一両借り切ったので、あんたも乗りに来い」。
その路面電車とふたたび縁遠くなって一年あまり、鉄の友人からそういう一報があった。人を募って割り勘するそうだが、それにしても、そんなことが私の友人ごとき(失礼w)にできるとは。
ともあれ日曜、東の終点・三ノ輪橋へ行くと、それらしい人が集合している。挨拶を交わしていると、行先表示に「貸切車」と書かれた車両(写真右)がゆっくりとやってきた。そして我々だけを乗せて、本当に発車した。
約二時間の一往復を、三万円で貸してくれる、という。存外、安い。参加者は二十人弱いて、それでちょうど座席が埋まっている。車内でビンゴ大会をしたり、参加者全員に"都電もなか"を配ったりした分を含め、ひとり千八百円。
民家の軒先、あるいは人混みや車の行列の横を、ゆっくりと走っていく。そんな日常風景を窓に見ながら、しかも公共の乗り物の中で、身内だけで楽しく騒ぐ。床にへたり込んだり、椅子で横になったりしてもいい。沿線に特別な絶景はないが、かかる不思議な体験は一見の価値がある。
…ただ、電車の接近を見て財布を出した停留所の乗客が、「貸切」に気づくや一瞬だけ車内をにらむ(笑)。
なお、都電の塗色は現在、都バスの様な緑系のもの(左写真前方)になっているが、貸し切った車両は旧塗装を復元した一両きりのもの。昔、親に連れてきてもらった頃に、これが「新塗色」としてデビューしつつあったのを思い出し、ちょっと懐かしかった。
【06年5月につづく】