1月4日
【写真は元旦朝の淀川(東海道線・新大阪〜大阪)】
「皆様、新年明けまして、おめでとうございます。皆様明けましておめでとうございます」
日本中のWEB日記でこの言葉が書かれていることだろうが、これは別に私が言っている訳じゃない。
「…今日は、平成十九年一月一日、時刻は六時二十分を回ったところです。列車は定刻通り、あと十一分ほどで大津に着きます…」
他に移動手段はあるのに、わざわざ夜行列車で年を越した次第だ。年々重症になる我が「鉄癖」。
帰省シーズンとはいえ、この一夜ばかりは自宅付近なり帰省先付近なりで過ごすのが世の常らしく、この夜行急行も今夜は普段通りの両数でもって乗車率六割、そして主な顔ぶれは二十代の若者たちと若干の家族連れ……その中に、御年三十五歳のいい大人が一人で乗っている。
ただ、前年の正月にも書いた通り、この晩をそんなに特別視すべきじゃないと思う。たとえば冒頭の車内放送をした車掌氏の様に、普段と同じ仕事を黙々と続ける人も数多くいるのだ………と、物好きな自分の行動を正当化しておく。
「おはようございます…あ、おめでとうございます」
向かいの小柄な青年が顔を出し、笑顔で挨拶をくれる。「おめでとうございます!」と返す筆者。
昨夜、彼の上着掛けに見覚えのある紙袋が提がっているのを見て、
「…コミケの帰りですか?」
と水を向けてみたら、果たしてその通りだった。サークル活動中心の当方に対し、先方は買い+コスプレ専門とのことだが、社会全体から見ればまだまだ少数者同士、共通の話題は尽きなかった。
「家は名古屋なんですけど、ついでだから九州まで旅行してやろうと思って!」
聞けば、なかなかに"鉄分"も豊かな御仁。それで名古屋圏や関西、九州にちなむ鉄道事情でも盛り上がり、そして小田原の手前、零時ちょうどに新年の乾杯を交わしたのだった。……今回の冬コミは大晦日まで。当然この晩に各地へ帰る人が多いだろうとはいえ、正月から結構な奇縁である。
さらに、夜行列車に乗ると楽しいあまり寝つけず、翌日の行程が辛くなってしまいがちな筆者だが、この車中では実によく眠れた。それも乗るなりバタンじゃなくて、列車の音や揺れ、車内めぐり、そして先述の奇遇な出会いを十分に楽しんだ上での"悔いのない"眠りだった…。
「…ご乗車ありがとうございます。本年も、JRの列車をよろしくお願いいたします」
今日、いや今年最初の車内放送は、締めくくりも"元旦特別編"。
充実していた夜行列車の旅は、大阪が目的地。親戚方でやる正月恒例の集まりに出るためだが、その前に『大阪近郊・乗り&撮り鉄な一日』が待っている………明けゆく車窓を見ながら
「どうやら、いい事ずくめな一年になりそうだ……ヘッヘッヘ」
と一人浮かれる筆者は、もはや誰にも救いようがない。
数寄に暮れ明けて夜汽車の初茜
なお『新嘲文庫』の冬コミについてはこちらの「イベント情報」を参照してくださいまし。
コミケ直後は正直言って浮かれていたものの、日が経ってみると次回に反動が来る様な気がしてならない。それでも筆者は書くしかないし、書いちゃうんだろうけど(苦笑)。
1月8日
【写真上は中央東線の車窓(長野県諏訪地方)、下は雪の中央西線・薮原駅(長野県木祖村)】
【旅の詳細と切符・宿などの情報はこちら】
さて、東京に戻って二日置くや、仲間と諏訪・松本・木曽方面へ、撮影メインの鉄道旅行に。
「寒さはキツいけど、雪は降らないよ」
出発前、松本に住んだことがある職場の上司からそう聞いた。言われてみれば彼の地は寒天の名産地。つまり寒いが降水は少ないということ。「冬に旅行するならぜひ雪景色を!」と思って計画したのだが、考えが足りなかった………山は別にして、"長野"のイメージ通りに雪国なのは北寄りの一部だけだそうな。
ところが、甲府を越えるなり夜汽車の途中駅は雪模様。うっすらと積雪があるばかりか、現に大粒の雪が降り続いている。そして塩尻、松本…と、より積もりにくいはずの場所へ行くにつれて積雪は厚みを増す。
「雪だ雪!雪景色〜!!」
物憂げな顔で一番列車を待つ土地の人々を尻目に、筆者らは早朝の塩尻や松本の駅構内で狂喜乱舞。わざわざ屋根のない場所でカメラを構え、雪まみれになるバカは我々一行だけ。夜行の車中には同好の士が少なからずいたけれど、みな"雪を求めて"さらに北方へ行く旅だった。
朝食後、名古屋方面の普通列車で木曽の山あいへ。適当な途中駅で降り、各種通過列車を数時間にわたって楽しむ行程。車窓の雪景色に、筆者らのウキウキ気分は続く。
が、風が強まり、降雪が横向きになり出した。そして途中の各無人駅は屋根のある場所まで白くなり、小さな待合室が雪ダルマの様になり果てている………
「こんなとこに数時間いたら、死ぬ」
さすがに身の危険を感じ、とにかく「ある程度大きい駅へ」ということで木曽福島まで直行。
「降ってもこんな降り方しないだに…」
ホームで雪を掻く係員、道を聞いた土地のおばちゃん……みんな首をかしげている。ともあれ駅外で撮影場所を求めるも、足跡のない場所へ一歩踏み出すや膝下までズボッ!さらに「頭が重いな」と思いきや、わずか数分で上着のフードにうず高い積雪が。結局、雪はないつもりの装備で来た筆者らは、すぐ脇の一カ所に少しいたのみで駅の中へ。
「うおっ、ピントが合わねぇ!」
もはや、何にピントをつけようとしてもレンズが降る雪粒を捕らえてしまい、ことごとく何が主題か分からん写真に。意を決して、寒そうだけどロケーションのよさげな途中駅・薮原まで戻っても状況はむろん同じ。さらに松本市内へ帰ってきても、量はさらに多く、粒はさらに大きく……。
泊まりは、"御柱"の秋宮大社がある諏訪湖畔の町・下諏訪。だが、ここも駅前から足元が危うく、そして宿は氷雪をたたえた坂の途中。結局、観光どころかコンビニへもゆけぬ有様。
…まあ、これはこれで珍しいものを見た訳だし、鉄道旅行自体は存分に楽しめた訳だけれども………。
そんな訳で、翌日の帰りにようやく雪が止んだのを見て思わず一言。
「雪が降ってないって、すばらしい!」
人間ってのは、実に勝手にできている。
さらに勝手なことに、一月もすればまた「雪を見る旅がしたい」とか言い出すに決まっている。
ところで、立ち寄り先に塩尻や木曽を入れた目的の一つは、貨物列車を牽引するEF64という電気機関車。これが二両一組で長野へ石油を運ぶ貨車を牽いているのだが、近年、車体の塗色がダサいものに変えられつつある。
そこで、
「原色のヤツを先頭にした貨物列車を撮る!」
というテーマを引っ提げ、朝四時の塩尻へ降り立った次第。と、まず東京からの列車が接近。東京発着は塗色どころか機関車自体が新型に変わりつつあるのだが、これが期せずしていきなり原色先頭のEF64!…しかし早朝ゆえブレまくり。
そして、その後の"戦果"は………
★すぐ後に名古屋からの下り便が来て、なおかつ停車!
★さらに、夜が明けだした頃に次の下り便!
★木曽福島に移って間もなく、予定外の下り臨時便に遭遇!
…どうやら名古屋発着便は、下りから見て「@新色A原色」の順番で機関車を組んでいる様子。ということは、上りなら原色が先頭になる。そしてこの後、土日ゆえ今日一本のみの上り列車が……!
★奮い立って山中の小駅・薮原へ。最高のロケーションの下、十数分遅れでヤツが!
…溜息をつきながら普通列車で松本へ向かう筆者。と、今日は動かないはずの上り貨物列車とすれ違う。そしてその列車は、"ルール"通りの原色先頭………orz
無念さを引きずったままの翌日、行程の都合でまた塩尻に少しだけ寄る。と、仲間が貨物列車の運転士と遭遇し、上り臨時便の存在を聞き出してくれた!急遽旅程を変更し、待つこと一時間……
★キター!!
……前言撤回。今年もたいしてツイてない一年になりそうです。
雪に踊り蕎麦食い忘れ信濃みち
【07年2月につづく】