〜近況報告:2007年3月〜


3月9日

「なんで『疲れて帰ってきた人』の写真なんですか?」
.
「………これ、『旅立ち』なんですけど(汗」

 "一人芝居分科会"という、文字通り一人芝居をやるサークルに、かれこれ五年ほどかかわっている。他のメンバーはみな、高校で演劇をやりまくってきた真面目な若者たちや教師。いかに「来る者拒まず」の集まりとはいえ、よくぞ筆者の様な"気まぐれで面倒臭がり屋のおっちゃん"を混ぜてくれているものだ。
 その埋め合わせという訳じゃないけれど、ともあれ筆者は頼まれるまま、発表会のチラシやプログラムなどの作成を一手に引き受けている。
 毎回、アイキャッチの写真は、
「試行錯誤しつつ一人芝居を続けていて、そして、これからも続けていく」
という思いをこめて、『一人旅の後ろ姿』をテーマにしている。今回選んだのは右の写真。ある地方都市で撮った、東京へ行く夜行列車の入線と、それへ乗り込む青年のシルエットだ。季節は三月。大きな鞄と背広のケースを持って夜汽車に乗る青年。東京にどんな新生活が待っていて、そして彼はいかなる志を携えて東京へ向かうのだろうか………。

 が、チラシの素案を配るや、冒頭に書いた台詞が若いメンバーから飛び出したのだった。
 …言うまでもなく、寝台特急や夜行急行のたぐいは"時代遅れ"とされて年々数を減らし、いまや風前の灯火。もはや二十歳前後の世代にとっては発想外の代物になってしまっていて、だから彼らにとって夜の駅というのは「=終電で帰ってくる場所」としか思いようがないのだ。
 幸い、私より年上の主宰者先生は見てそれと分かってくれた。若いメンバーたちの頭にも"夜行列車"という概念自体はあり、説明すれば理解してもらえた。それで、無事にこの写真でチラシを作ることができたのだが、
「そこまで廃れちまったかぁ…」
夜汽車が廃れゆく現実をあらためて認識させられるとともに、
「…俺はオッサンや」
という事実を嫌が応でも突きつけられた次第なのだった…。

 『疲れて帰ってきたとこ』vs『旅立ち』。
 諸姉諸兄は上の写真を一瞥して、どちらだと思われたでしょうや?

 …せめて、もう少しそれらしい駅で、もう少し上手く撮っていれば………というのは分かっております、ハイ。


【07年4月につづく】



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